笑う推しには福来る

ファンレター書くタイプのオタク

歌が苦手だった推しがメジャーデビューして私が3回救われた話

※タイトルまんまの話です。今までで一番推しバレしそうですが分かってもそっとしておいてください。

 

2年前、推しは歌が得意ではなかった。むしろ苦手だった。

それは私が推しを知った時も出演作品を通して嫌というほど分かった事実で、当時は推しはかっこいいけれど歌が…っていう理由であまり人におすすめできなかった。

歌が苦手なのになんで歌のある舞台に出たんだとか思うことはあったけれど、その作品に出たおかげで推しに歌手としてのデビューの話が舞い込んで、一年半、練習してたことは一切表に出さずに水面下で歌唱力を上げて、遂に今年、メジャーデビューした。

 

メジャーデビューの告知があった日、私はあまりにショックすぎて仕事を早退した。

直前に見た作品では確かに歌唱力もパフォーマンスも以前見た時よりも確実にレベルアップはしていたし、ソロではないもののセンターでメインを張る曲も与えられてた。それでも、推し基準で前より上手くなったというだけで、プロの歌手という肩書きを持つにはまだまだなんじゃないかって。若手俳優をすぐにCDデビューさせる風潮に推しも乗せられてしまったのかっていうショックもあって、正直、大コケする未来しか見えなくて絶望した。

しかも告知の翌日は現場で、もう二度とこんな席でこの作品を見れることはないであろう良席。またとない距離で推しを拝めるのにこんな気持ちで生の推しと向き合うのが辛くて辛くて仕方なくて、仕事どころではなくなってしまった。

 

ぐちゃぐちゃの気持ちのまま、それでも推しにはショックだなんて絶対に言えないから、帰ってから少しだけ寝込んで、布団の中からおめでとうございますというコメを送り、作曲者を調べて掘り下げた上でデビュー曲が楽しみですという内容と舞台の感想を手紙に書いて、翌日の現場を迎えた。

 

当日の現場は他担の友人と一緒だったのが幸いして、前日のショックが嘘のように楽しく過ごせた。気を遣わせてしまった部分もあるけど、愚痴トークにならずに一日中楽しい話で盛り上がれたのはひとえに友人のおかげ。今でもものすごく感謝してる。

 

いっぱい楽しんだ後のこの日の帰りに見た、推しの更新がいつもと違っていた。

私が当日に出した手紙の中で二人の関係性がとても良かったと何度か書いた、推しの演じたキャラといい関係を築いているキャラとの2ショットと、いつもなら顔文字や一言だけしか書かない推しが、その日なにか特別ないいことがあったととれる内容を長文で書いていた。

更新があった当時の私は現場が楽しかったテンションを引きずっていて、ただ更新そのものが嬉しくて舞い上がったコメを送っただけだったのだけど、認知されてたのを知った後に見たら、私が手紙で伝えていたことへのアンサーも含まれていた。おそらく、メジャーデビューの発表でネガティブな感想を抱いたファンの言葉をたくさん見ていた最中に前日のデビュー告知を好意的に捉えてすぐに伝えてきた私の手紙を読んでくれたんだと思う。この時にポジティブな言葉だけを推しに伝えて本当に良かった。

 

 その後、少ししてデビュー曲が初公開された。

その日はその日で、数日前にあった災害の影響で仕事に行けなくなっていた日だった。災害のショックでめちゃくちゃ落ち込んでるところにさらに絶望を味わうハメになるのかって思った。担降りすることはないけどひたすらしんどくて辛かった。

そして、ついに公開されたものを聴いた。

一言で言うと、きちんと推しを理解した上で作られた曲だった。推しの好きなジャンルの楽曲で、推しの声や性格をきちんと汲み取ってくれて、無茶なことは一切させてなかった。ちゃんと推しに向き合ってくれた上で作られた曲だというのが一発で分かった。

もうすごく安心した。推しが事務所やレーベルから大事にされていることも理解できて、なにより、推し自身の歌が明らかに上手くなっていた。歌唱力は一日やそこらで上がるものではないことも含め、なんとなくノリで立ち上がった企画じゃない、おそらく1年以上前から立ち上がっていたものだろうということも察することができた。

素敵なデビュー曲を聴けたことでほっとしてめちゃくちゃ泣いたし、スタイリッシュだけど優しい、本当に推しをそのまま体現したような曲で、災害のショックからも冗談抜きに救われた。この時、ストレスで家から出れないぐらいには災害でダメージを受けていたので、推しのことを受け入れたくなくて聴いていなかったらもっと落ち込んで引きこもりになっていた可能性もあった。その状況をたった5分で救ってくれたのだ。推しには感謝してもし足りない。

 

カップリング曲も後日公開された。これも推しのためにだけある曲で、いい曲だった。

この頃には絶望してた頃が嘘のように配信日やCDの発売日が待ち遠しくて仕方なかったし、なんなら歌手としての推しのファンが出来るんじゃないかって思うぐらいわくわくしていた。また純粋に推しの更新を楽しみにできる状況も嬉しかった。

 

最速発売日。先行配信での公開だった。もちろんDLした。

推しがSNSで告知をしたのだけど、その時のコメ全てにいいねを押していた。普段はそんなことしないのに。やっぱりメジャーデビューっていうのは推しにとっては受け入れてもらえるか不安だったんだな、受け入れられたことが本当に嬉しかったんだな、っていうのが分かった。私もデビュー告知の翌日に手紙を出した時とは違って、心の底からおめでとうを言えたことが嬉しかった。

 

CD発売日。ここから怒涛のリリースイベントラッシュだった。

メインイベントとして、ライブがあった。たった15分ではあったけど、それまで見たどの推しよりも輝いていたし、堂々としたパフォーマンスと歌を届けてくれた。推しからはいつも楽しくて幸せな気持ちをもらっていて、笑顔にさせてくれるのだけど、この時も最高にハッピーになれた。推しのことがもっと好きになった。

このライブを上で挙げたのとは別の他担の友人がたまたま観に来ていて。その子はうちの推しの歌が下手なことが理由でとある舞台を見たくないと言っていたぐらい厳しい評価をする子だったので、感想を聞くのがすごく怖かった。でも聞いてみたら、今まで知ってた推しと別人のように上手くなってて、パフォーマンスも良かった!と言ってくれた。辛口の他担にも認めてもらえたことで、私のフィルターがかかりすぎてるわけじゃないんだな、っていう安心もできて、すごくほっとした。

 

そして、またここで私が救われた。

実はこのライブの翌日に資格の試験があった。実務経験+試験勉強をきっちりしないと絶対に受からない類のもの。地方住みなのでこのライブのための遠征での移動+待機中にトータル7時間ぐらい試験勉強ができた。幸せいっぱいの状態だったので、いい感じに勉強が捗る捗る。正直、試験勉強してた中でこの日が一番頭に詰め込めた。

でも、試験当日の開始15分前に推しの新しい仕事の告知が来て。しかも大役。びっくりしすぎて勉強した内容の3割ぐらいは抜けた。でも、推しに幸せにしてもらったし、新しい舞台のチケ取るためにも落ちるわけにはいかないと思ってなんとか試験を終えた。

結果、めでたく試験には受かった。推しのおかげで受かって、上がった給料を推しに使える。winしかない。ありがとう推し。

 

ライブ以外のリリースイベントはサイン会だったりトークイベントだったり。

各地へ遠征に行った際、推しはその前のリリイベで会話した内容を毎回覚えててくれてた。一日に3桁のファンと会話をしているのに私との会話を覚えててくれたのがめちゃくちゃ嬉しかった。遠征自体も観光することが出来て楽しかったし、推しの曲や出演しているラジオを聞きながら移動していたから全然苦じゃなくて、ずっと幸せな気持ちでいれた。一生忘れることのない、ひと夏の最高の思い出になった。

 

そのイベントでさらに私が救われた話。

最後のリリースイベントの日が台風で。この日は新幹線が止まってたからバスで移動した。イベント自体はすごく楽しかったけど、悪天候の中ファンに集まってもらって申し訳ないと思ってたみたいで、推しは他のリリイベの時よりちょっと沈んでた。それでも、サインしてもらう間に楽しく話が出来たので、幸せな気持ちにしてもらえた。

そんな幸せ状態で家に帰ったらエントランスの屋根が吹き飛んでた。少し前の災害以上に、数十年に一度レベルのひどい被害を受けてた。自宅で待機してたら怪我してたかもしれないし、暴風による揺れできっと酔ってたし、また自然のトラブルでストレスを抱えるところだった。あの日イベントがあったおかげで無事でいれたので、推しは私の厄を祓ってくれる神様なのかもしれない。お礼をいくらしてもし足りないから、これからも推し続けることで返していけたらいいな。

 

推しがデビューしたあと。

私が以前、歌手としての推しのファンが出来るんじゃないかって思ってたことが現実になっていた。推しに曲を聴いてファンになりましたって人たちからメッセージが届いているみたいで、その中には今度現場に行きますって言ってくれる人もいて、推しがめちゃくちゃ喜んでた。それぐらい推しの歌が良かったっていうことや、推しの努力が実を結んでいるのがすごく嬉しい。推し自身もラジオなどで歌うのが苦手だったのが歌のある舞台がきっかけで好きになったと言っていて、歌うことが好きになった推しの歌を聞くことが出来て、いちファンとしてもめちゃくちゃ幸せだし、推しのファンが増えて本当に良かったと思ってる。

デビューから数ヶ月経った今も、遠征の移動中やお風呂に浸かってる時は推しの曲を聞くことで疲れが癒やされてる。 ちょっとさみしげな曲もあって、遠征の帰りに聴くとキュッと切なさがこみ上げるのもいい。

2ndシングルも望めるなら是非出してほしいな。ライブがたった1回だったのがもったいなすぎるから今後もリリースが続くならゆくゆくはツアーもして欲しい。

 

今年は舞台上で演技をしている推しにドキドキをもらって、トークでファンを楽しませてくれる推しに幸せをもらって、歌う推しに癒やされていて、とんでもなく贅沢な日々を過ごせていて本当に満たされてる。

たくさん幸せにしてもらったり救われてる分、推しもどうか幸せになって欲しいと願わずにはいられない。

私には全力で推すぐらいしか出来ないけど、少しでも推しの糧になれることを祈って。